二階堂黎人『人狼城の恐怖』

 

二階堂蘭子シリーズの作品「人狼城の恐怖」の紹介と感想など。

ネタバレ有無両対応です。

 

作品紹介

 

ドイツ・フランスの国境に建つ”双子の古城”・人狼城

各城に招かれた二組の客人たちを待っていたのは、凄惨な死の宴であった。

誰が殺した、なぜ殺した? 潜む人狼の影、城に隠された秘密とは?

名探偵蘭子もまた、数奇な運命に導かれ人狼城に誘われていく

 

巨大で偉大な大傑作です。

 

感想

 

「人狼城の恐怖」、この作品を読むために私は「二階堂蘭子シリーズ」を読み始めました。

なんでも、世界最長のミステリー小説とされているそうじゃないですか、気になりますよね

 

物語の舞台は、双子古城人狼

こんな単語を並べられたら妾の涎が止まらなくなっちまうじゃあなィかい♪

海外が舞台となっているのもシリーズ初で新鮮でした。

 

構成としては、ドイツ編・フランス編と事件が綴られ、

蘭子による探偵編・解決編と続いていく形式になっています。

流石のボリュームで、本気で読み解こうとするならば読者には相当の容量、あるいは努力が求められるでしょう。

 

ミステリーとしては素晴らしいの一言で、トリックも絶品でした。

作品上無駄な部分も見当たらず、ただ長いだけの小説では決してありません、

まさに大傑作と呼べる、一読の価値あり、文句なしの名作でした。

 

 

・・・嘘です。一つだけ指摘すべきがあります。

詳しくは既読者向けに書きますが、深くネタバレしない程度に述べると、

開く

一つのミステリーとしては解決していますが、物語としては完結していないと感じます。つまり、私にとって「人狼城の恐怖」はまだ未完の作品ということです。それは嬉しいことでもあるんですけど、スッキリしない気持ちもありますね

 


以下ネタバレを含む内容。既読者のみが読んでくれ。それが、僕の遺言だ。

開く

 

最初に敗北宣言から、今作は自分の力足らずを実感しました。

単純に、2冊分の事件像を記憶し、整理する容量を持っていなかったのです。

2~3周程読み直せば見えてくるモノもあったでしょうが、後悔先に立たず。

 

やはり、まずはメインディッシュの三つ子の城のトリックについて。

これはお見事と言う以外ないでしょう、伏線も充分だったと思いますし発想の勝利。

ただ、私は金田一少年の事件簿で、おそらく本作品をモチーフにしている?事件を読んでしまっていたので、具体的な階層構造までは見抜けていなくても、驚きは大きくなかったです。

恨んではおりません

 

個々の事件についてはフランス編・独房のランズマン殺しが特に面白かった

仕掛けで作り出す物質的な密室もいいですが、人を欺いて作られる精神的な密室の方が自分ははるかに好みです、小説媒体だと特に。

 

よかった点を自分が挙げても仕方ないので、文句をいいます。

 

上でも述べましたが、この作品で最も解せないのは、犯人や犯行の方法は明らかになりましたが、ワイダニットが全く十分に説明されていないことです。

本作の謎の一つ、被害者のミッシングリンクは大きすぎるものでした。また、動機の一つは「死体が欲しかった」という逸脱した理由。

別にそれ自体は何の問題もないんです、犯人は狂人(一般から逸脱した人間という意味)という前提で読んでますから。

だから、読者として欲しかったのは犯人がなぜ狂人足り得たのかという説明でした。

例えば、ミステリーにおいて被害者の数が多いほど、事件に残虐性や狂気を感じるほど、犯人の素性であったり被害者との確執といったものへの興味が強くなり、後のカタルシスへと繋がっていくと思います。

しかし、本作では犯人は「人間から外れたもの」という程度のことしか明かされないまま、壮大な因縁を匂わせて消えてしまいました。

「今後の作品で明かしていくから楽しみにしててね」と言っています。

 

こういった謎を先へ持ち越すという趣向は全然嫌いじゃないのですけど、それを「世界最長」でやってしまうと流石に浮かばれない読者は多いのではないでしょうか。

これこそが、本作品の罪だと私はおもいます

 

さらに、シリーズの次巻以降を読んでいないのでわかりませんが、眺めた感じ本作で残された謎は手付かずになっていそうな雰囲気です。

だとしたら、罪はなお重くなりますが・・・

 

忘れてはいけないことは、人狼城事件の解決は犯人ら自身によって導かれたものであるということで、先述した罪と合わさって本作読了後の充足感が薄くなってしまっていることも指摘しておきます。

また、先に「本作では無駄な部分がない」と述べましたが、これは以後の作品できちんと謎が明かされるという前提での感想であります。

 

罪だのなんだの言いたい放題言ってきましたが、本作は間違いなく傑作でした。

次巻以降を読むかは悩んでいたのですが、こんな謎を残されては読まざるを得ないか・・・(手のひらワルツ)

 

 

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