二階堂黎人『聖アウスラ修道院の惨劇』

「二階堂蘭子シリーズ」三作目の「聖アウスラ修道院の惨劇」の感想など。

ネタバレ有無両対応。

作品紹介

修道女たちが暮らす「聖アウスラ修道院」を取り巻く奇怪な事件。

塔からの墜落、桜の木に吊るされた首なし死体、落盤事故で閉ざされた禁断の文書庫・・・

依頼を受けた蘭子と黎人は事件の真相の解明と、修道院の深奥を求め捜査を開始する。

神の庭に潜む邪悪な意思の正体は、修道院に秘められた真実とは

小さくて壮大な舞台での物語です。

感想

舞台と物語の作りこみ

今回の舞台は修道女たちが暮らす修道院、荘厳で静穏な雰囲気満点の空間です。

ミステリーとしては二つの密室が登場、さらに暗号解読と宝探しの要素も加わって見所の多い内容になっています。

特に感心したのが事件の背景となるストーリーや舞台設定の構想。

単に事件とその解決のみを披露することを目的とせず、読み物としての大筋がよく練られているという印象です。

性格としては「推理小説」というよりも「探偵小説」が近いかもしれません


以下ネタバレを含む内容。氏は其のためにも、書かれたのである。

開く

まず二つの密室から、過去に用いられたトリックについてはあまり言うことがありません。

この方法が通用するのであれば別の手段でもできそうな気はする、が、きっちりと正攻法?で脱出する道筋を示したのは好印象でした。

第二の密室は「なんやそれ」と感じる人もいるかもしれませんが、私は思考の盲点を指摘されたようで面白いと思います。

暗号解読による宝探しの冒険は大好きなシチュエーションですし楽しく読めました。

ただ、こういった趣向や第一の密室などは、その場に当人としている探偵のための謎といったイメージが強く、自分で推理する楽しみ方はやりにくい印象なので、そういった意味で探偵小説に近いと考えます。

本書で一番面白かったのは、一旦の事件の解決後に明らかになる更なる秘密でした。

シリーズを通して感じることですが、作者は取り扱う題材について相当の知識を準備して執筆に取り組んでいると思います。

さらに事件の舞台や人物の背景などの設定もすごく練られていて純粋に読み物として楽しく読めるのが素晴らしい。

今作の舞台「聖アウスラ修道院」には、大好きな作品である綾辻行人氏の「時計館の殺人」に似たものを感じます。

相変わらず信用ならん警察の役割や、正直全く追いつけない蘭子の切れ者ぶりにも慣れてきて本シリーズの楽しみ方がわかってきたのかもしれません。

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