綾辻行人『びっくり館の殺人』

「館シリーズ」八作目、「びっくり館の殺人」の感想。

ネタバレ有無両対応です。

シリーズのその他の作品についてはコチラ

リリカは何の子? 悪魔の子!?
すべての世代の“童心”に贈る 謎(ミステリー)と驚き(サプライズ)のおもちゃ箱!
少年の日の、極彩色の悪夢――あの密室殺人の真犯人は誰だったのか!?

あやしい噂が囁かれるお屋敷町の洋館、その名もびっくり館。

館に住む少年と友だちになった三知也たちは、少年の祖父が演じる異様な腹話術劇におののくが……クリスマスの夜、ついに勃発する密室の惨劇! 悪夢の果てに待ち受ける戦慄の真相とは!?

作品紹介

町中に佇む噂の絶えないお屋敷、びっくり館。

少年・三知也は館の住人トシオと偶然知り合い仲良くなる。

かつて悲劇が起きたというびっくり館では、トシオとその祖父、そして死んだ姉リリカを模った人形が暮らしていた。

彼らの異様な生活に不安を感じ始める三知也たち。

そしてクリスマスの夜、密室の中でついに惨劇は起きた。

少年の心に異形を孕ませる、ダークでホラーな作品です。

感想

子供たちにも容赦ない綾辻流

少年少女も読者に想定した「ミステリーランド」シリーズの一冊として刊行され、館シリーズの8作目という位置づけでもあるのが本書。

そのため、文体や挿絵の存在・分量など、他のシリーズ作品に比べて読みやすいものとなっています。

しかし内容の方はといえば、子供心には強烈であろうテーマやダークな雰囲気、人物の狂気などで溢れています。

ミステリーとしては明快で大胆な構成。

個人的には好みの趣向ではありませんが人によるでしょう。

「館シリーズに相応しくない・館シリーズである必要がない」という意見もあるようですが、少なからず同意できるものと感じます。

幼い頃に出会っていれば、もっと素直に楽しみ怯えられたのかもしれません。

次巻は有限・・・

Q: どこまでが「出題編」?

A:第二部までと思います(個人的な感覚です)


以下はネタバレを含む内容になります。未読の子はいねがー。

開く

密室ではなく叙述トリック

密室大好きの私は、どうやってここから抜け出そうかとそればかり考えていました。しかし、結末は読者を欺く叙述トリック、伏線はかなり丁寧に張られていましたが。決して叙述トリック自体が嫌いなわけではないのですが、それが全てで事件が終わってしまうような使い方は邪道な気がします。特に今回の場合は「それ」について一人称が言及しないのは明らかに不自然な状況です。しかも、警察が存在するのに、その見解の情報を得た時点でもうほとんど核心になってしまっているのもよくわかりません。

物語全体としてみれば、主人公が「こういうことがあったんだよね」と言っているだけの話、どこで何を推理すればいいのか。ミステリーの趣向の一つとしてこういった分野はあるのでしょうが、とにかく自分の好みに合わなかったというだけの話ですね。

館シリーズなのか

私がこの作品を「館シリーズ」の作品として受け入れにくい理由は、館が主役ではないと感じたこと、これに尽きます。まず疑問に思ったのは、これまでのシリーズには必ず巻頭に館の見取り図が載っていましたが、今回はそれがないんです。局部的な図は作中に記載されたいましたが、この時点でなんか違うなぁ・・・という心情。

館の雰囲気や性格を感じさせる描写もあまり見られず、人物や出来事ばかりが表立っている印象を受けます。島田がおまけ程度に出演していたのもむしろスピンオフ感を強めました。他にも、自分は気になりませんでしたが、館の名前自体がお約束に則っていないという指摘もあるようですね。

全体として、本当に作者は「これは館シリーズの作品だ」と強く意識して書いたのか疑わしく思えるものでありました。

その他

「館シリーズ」の作品として見れば低い評価になってしまう本書ですが、一冊のミステリーとしてなら全然意義のある作品だと思います。この作品を読んで興味を持った子がその他のシリーズに手を伸ばして・・・という順番で読まれるべきなのかもしれません。

ホラーな雰囲気とインパクトのある結末ですから、幼い時分に読みたかったですね。

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